引越しのことを数日書き綴っていたら、思い出した不思議なエピソードがあります。
それは、ボストンバッグおじさんの話。
ボストンバッグおじさんとは、私の家族の中だけで語り継いだ架空のおじさんのことです。
モトネタは、かれこれ15年は昔の子育てか何かの雑誌に載っていた、読者のページだったと思います。
ああ、あのページにボストンバッグおじさんのことを投稿して下さった方、その思いは私が受け継いでますよ〜〜笑イエイ!
読者のページに投稿されていたボストンバッグおじさんは、
モノが片づけられないと、ボストンバッグに全部モノを突っ込まれて持っていってしまうという、ヘンテコな設定のおじさん。
私は当時3歳くらいの小さかった息子におもちゃの片付けを仕込もうと、そのネタを転用しました。
遊んだ後、おもちゃが転がっていたら、
「ボストンバッグおじさんがくるで〜」
とまるでお化けが来るぞと言わんばかりに演技をしました。
意外にも、息子に受けてしまいました。
ボストンバッグおじさんは怖いというよりも不思議なユーモアのあるおじさんのイメージと化しました。
私がボストンバッグおじさん役をして、エコバッグにおもちゃを詰める遊びに発展してしまったのですが、
5回目の引越しの後のこと、
本物かもしれないボストンバッグおじさんに出会いました。キャー!
区役所での書類手続きを終えて、小学3年生になった息子もこれで地域の小学校に転入できる手筈になりました。
その帰り道、息子と手を繋いで歩道を歩いて帰宅する途中のこと。
向こうから、ツイードの洒落たスーツを着て、おしゃれできちんとした帽子を被られた、少しお年を召した紳士が歩いて来られます。
片手には、黒いボストンバッグを下げておられます。履いておられる靴は黒革で、手入れがしてあって、高級そうに見えました。
そ し て・・
息子の前で急に止まられ、息子と対面する形になったと思ったら、膝をかかめられて、
「おかえり」
と、息子に声をかけられたのでした。
確かに、5回目の引越しで私たち親子は実家に帰ってきたのです。
私は紳士のお顔をしっかり拝見しました。初対面の方で知らない方です。優しい眼差しです。でもちょっと怖い。
私は本物のボストンバッグおじさんだと思って、内心、パニックでした。
息子は、ポカーンとしてしまって、おじさんを見上げました。
私はおじさんに軽く会釈をして、息子の手を引いて歩道を真っ直ぐに歩き続けました。振り返りはしませんでした。だってやっぱりちょっと怖かったから。
おもちゃをボストンバッグに入れて持っていちゃう架空のおじさんが、本物の人間に扮して、現れたのかと思いました。
あれから10年以上経ちますが、あの紳士はお見かけしたことがありません。
息子も、ボストンバッグおじさんのネタで遊んでいたことはすでに覚えていません。私の記憶の中だけのお話になってしまいました。
でもここで書いて、記録に残しておこうと思います。